研究概要

生体信号と複雑系ゆらぎに関する研究

私たちの体の中では様々な器官が互いに連携しながら生命が維持されており、その様相は非常に複雑です。 数理科学の分野では,システム内の多数の構成要素が相互作用することで発生するゆらぎは複雑系ゆらぎと呼ばれ、 その基本特性が研究されてきました。

私たちの研究室では、生体信号について複雑系ゆらぎとの類似性に注目した研究に取り組んでいます。 例えば、健康なヒトの心拍リズムは安静時でも一定ではなく、拍動間隔が不規則的に変化する複雑系ゆらぎとしての特徴がみられます。 その特徴は病気により失われ、健康でない状態の方が単調なリズムになる傾向があります。 このような生体ゆらぎの特性が健康と密接に関係することから、私たちは生体信号の構造を読み解き、 生体機能の評価や病気の診断に役立てる技術を開発しています。

情報論的階層性に注目したビッグデータ解析基盤の構築と応用

近年、電子化された医療・生体情報の大規模データの利活用による診断・治療法の発見、医療の効率化、医療政策決定への応用など、医療・生体ビッグデータが生む新たな可能性が注目されています。 このことは、専門的な医療現場に限らず、家庭内や日常生活中に携帯型機器などを用いて計測され、 インターネットを通じて集積された様々な生体情報についても同様です。そのようなデータを利用し、 病気の予防や早期発見に役立てるためには、データに隠された意味を読み解く技術が必要になります。 そこで、本研究では、医療・生体ビッグデータから健康や疾患に関する知識を発見する方法を開発し、健康リスクの予測へ役立てる研究を進めています。